今回は『表現のための実践ロイヤル英文法』のレビューです。
前回の記事で書きましたが、スピーキング力の上達のために現在取り組んでいることが2つあります。
1.時間がかかっても表現できるだけの英作文をしてみる
2.反射的に言えるフレーズをどんどん増やす
がそうですが、前回は2.についてのことでした。
今回は1.のことについてですが、2.にも被る内容かなと思います。
私は2019年に入ってすぐに『表現のための実践ロイヤル英文法』を購入しました。巷でいう、いわゆる『黄ロイヤル』ですね。
前から目をつけていて、自分が読めるレベルになったら買おうと思っていましたが、ついに手をつける事ができました。
結果として、購入して大正解だったと思います!
黄ロイヤルは「表現のための~」というタイトルの通り、表現するために必要な文法知識を身に付けるというもので、口語表現というよりは標準的な英語を用いてしっかりとした英作文が出来るようにという趣旨で作られています。
共著者であるマーク・ピーターセン先生が、ネイティブがどういう感覚でその英語を使っているかという説明が随所に盛り込まれ、これが分かり易さにも繋がっています。
私は黄ロイヤルのことを知るまで、このピーターセン先生のことを全く存じ上げなかったのですが、読んでみて納得でした。
さて、ネイティブ感覚の文法書といえば『一億人の英文法』が思い浮かびますね。これまでの記事でも触れたように、私はこの文法書も持っています。
少し主観的に比較してみます。
黄ロイヤルと一億人の英文法の比較
完全に主観的な比較になりますが、ご容赦下さい。既にお分かりと思いますが、どちらかオススメしろといわれたら、私的には黄ロイヤルをどうぞ、となります。
【その文法書を読んで、英文が作れるか?】
私にはこれが一番大きな問題だったのですが、一億人の英文法はいくら読んでも英文を作れる気になりませんでした。
「英語は配置の言葉だ」と著者の大西先生は仰りますが、どういうふうに配置をすればいいかさっぱりわからない。先生の言う「前から限定、後ろから修飾」はキャッチーなフレーズですが、だから何?ホワイ?な感覚です。
これは、私にそもそもの文法知識が十分にない事が原因でしょう。ではその文法知識はどう身に付ける?黄ロイヤルでしょう。
私は黄ロイヤルを読むことで、ひとつの英文の中で各文法事項がどのような配置と役割を与えられているのかを、ようやく理解する事ができました。
言い換えると、断片的だった各文法事項が、有機的に繋がるのを感じたのです。
遅せーよ!という話かもしれません。でも現役の学生でもない、長いブランクからほぼゼロで始める私のような者の場合、この文法知識がなかなかうまくリンクしないのです。
その点、ある程度初歩的な文法のインプットが終った後にこの黄ロイヤルを手に取ると、使える文法知識が身につくんじゃないかなと思います。
ただし書き方は結構硬めで、昔ながらの文法説明だったり、分類の仕方がくどかったりするので、ある程度の読みこなす力は必要です。つまり大事な部分と読み飛ばしても大丈夫な部分が分かる程度の文法知識は必要でしょう。
【語句の細かいニュアンス説明なら?】
どちらもネイティブのニュアンス説明という点では似通っています。
しかし黄ロイヤルのほうは、英語ネイティブとしてのピーターセン先生個人の主観に基づく説明がされていると感じます。対して一億人の英文法は、認知言語学や生成文法などの学問体系からくる知見に基づいて書かれているように思います(このへんの学問については完全に門外漢なのであしからず)
どちらが良いとかではないのですが、ニュアンスの理解に関しては、私は一億人の英文法にかなり助けられていることは確かです。副詞の章なんかとても役に立ちます。買っておいて良かったなと思います。
ただ惜しむらくは、一語一語の細かいニュアンスに囚われるあまり、英語全体の説明についておろそかになっていやしまいか、と思ってしまいます。偉そうにすみません。
繰り返しになりますが、黄ロイヤルはそこが上手く説明されているし、ピーターセン先生の解説も一億人~にはない視点で書かれている部分も多いのが特徴です。
黄ロイヤルと English Grammar in Use の比較
『表現のための実践ロイヤル英文法』の購入を検討されている方の多くは、この『English Grammar in Use』も比較対象になっていると思います。
私もどちらにしようか迷っていました。
結果的に黄ロイヤルになったのですが、その大きな要因としては、
日本語の説明のほうが自分のレベルに合っていた
ということに尽きると思います。
『English Grammar in Use』は初中級から中級者向けに書かれていますが、全文英語で書かれているため、全て読みきるには少々骨が折れると思いました。それなら日本語で書かれているものでさっさと理解したほうが話が早いのでは?と思ったのです。
後に、サンプルページを見たり書店でパラパラ読んでみた感じでは、『English Grammar in Use』に書かれていて黄ロイヤルに書かれていない事項は恐らくないだろうと感じましたので、そういう点でも良い判断だったと思います。
ただし『English Grammar in Use』はとても魅力的な学習書には違いありません。私自身なるべくネイティブが直接的に関わった学習書等から学ぶことを心掛けているので、そういった意味でも読むべきなんでしょうが…。
ピーターセン先生が英語ネイティブであるという点から、日本語解説だけれども『表現のための実践ロイヤル英文法』を選んだということです。
別冊:英作文のための暗記用例文300を使い倒す
ところで黄ロイヤルといえば、この『別冊暗記用例文300』というくらい、別冊が有名ですよね。
どこの評価を読んでも、この暗記用例文は自然な例文が多いので暗唱すべし、瞬間英作文すべし、と書かれています。
実のところ、私はこれを初見で「なんか難しく書いてるな~」という印象を持ったのですが、よくよく色々な英文(海外のサイト等)を見ていくと、この暗記用例文300に書かれている表現が結構出てくることに気付きました。
「よし、ならば覚えてやろう」と思うところですが、例文が300もあるというのは、なかなか骨が折れる作業です。
特に、日本語訳から英文に訳す体になっており、CDももちろんそのような構成です。瞬間英作文派には堪らない作りでしょうが、これも私にとってはなかなか大変な作業になります。
当初は覚える作業が難航していて、半ば頓挫しかかっていました。
しかしどうでしょう、私お得意の車内でのCD掛け流しを15周くらいしてくると、嫌でも覚えてくるものですね。
ということで、この黄ロイヤルを購入する際は、必ず例文暗記CD付きのものを購入すること。そして最初の頃は我慢して10~20回くらいは聴くことをお勧めします。
そうすると、あまり慣れていない言い回しや単語・語句にも慣れてくるとともに、そこが濾過されて、文の型がだんだん身に着いてきます。
特に私は、否定の型、比較表現、形容詞・副詞の使い方、名詞・冠詞、接続詞、疑問詞など(全部やんか!)、とても勉強になりました。
もちろん別冊はあくまで別冊なので、そこから本冊に立ち返って勉強や復習する事ができます。これももちろん、別冊と本冊はきちんとリンクしていますので学習しやすくなっています。
これをやっていくと、やっぱり文法のこと、分かっているようで分かってないんだな~ということが良く分かりますね。
これをやればいきなり英語のスピーキングが出来るわけじゃありませんが、基礎力は間違いなく上がると思います。
是非に手に取ってもらいたいですね。
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